兜射貫き・弓道「正法流」開祖 吉田能安 門下生・山崎誠のHP

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正法流の射義・射法については「弓の道 正法流入門」「弓道いろは訓」「弓道研究」等を
参考にして下さい。私が能安先生から教わったまさしくそのものが書かれています。
このブログではそれ以外のことで私が教わったことやエピソード等を書き綴っております。

24.正法流の物見の仕方

2013/12/27  カテゴリ:雑記【私の父・故山崎廣から学んだこと】


正法流の物見の取り方について
 ……「打ちお起し」から「大三」への移動と同時に「物見」を取るのは何故か……

 私は小学生の頃から、正法流の物見の取り方をしておりました。父が吉田先生の弟子で、
父からそのように教わったため、何の抵抗もなく、そのように引いていたのです。
高校時代、他の弓道会の方々と違う物見の取り方なので、父に尋ねたところ、以下のよう
な答えが返ってきました。その後大学で、吉田先生から弓道全般を教わりましたが、父か
ら教わってあったため、物見について吉田先生にあえて伺うことはしませんでした。

<故山崎廣の見解>
 父曰く、「弓構えで物見を取っていると、大三に至った時に、的から目線を弓手の肘に
戻さなければならない。視線を戻すと、折角大きく取れた大三が、知らず知らずのうちに
縮み、小さくなる恐れがある。

 その点正法流では、打ち起こしから同時に大三に移動し、目線を戻すことなく、ボーリ
ングのスパットに当たる、弓手の肘を見ることができる。そして肘を伝って目線を移動し
簡単に矢摺籐をしっかりと見ることができるのだ。」と。


 このブログを開始し、吉田先生から教わったことや思い出を書くにあたり、父の見解は、
本当に吉田先生から教わったことなのか、父の独自の見解なのか、確認しようと、先日吉
田教場に伺う機会がありましたので、現紫鳳会副会長土井春夫教士に尋ねてみました。

 土井教士曰く、

 「吉田先生は、同時・同形・同働(どうじ・どうけい・どうばたらき)と言われて、打
  ち起こしから大三へ移る際に、同時に物見を取ると指導されました。 同門の山崎さ
  んの父上のお話を、吉田先生から伺ったことはありませんでした。 しかし、合理的
  な分かり易い説明であることは、確かなことですね。」

という答えでした。

 現在の紫鳳会の方々は、父の言ったことを、吉田先生からは伺ったことがないとのこと。
私には、何度も伺う機会がありながら、その機会を逸したことは残念でなりません。


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23.弓巻きのしまい方

2013/12/15  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


弓巻きのしまい方
   ……… 表が日に焼けて色あせないための方法 ………

ある時、矢筒をとり、弓巻を解き、首に巻き、弓に弦を張る。首から外した弓巻を、グル
グルと巻いていると、それをご覧になっておられた吉田先生から、弓巻きの表が日に焼け
て色あせないために、以下の写真のように巻き込むのだということを。

また、このようにしておくと、弓に巻き付ける時も、脚絆(きゃはん)を巻いていくよう
にスムーズに、弓に巻けるのだと、お手本を見せていただきました。その時から今日まで、
そのようにしております。

以下の画像を順番にご覧ください。

20131214_01.jpg

      ↓

20131215_02.jpg

      ↓

20131215_03.jpg

      ↓

20131215_04.jpg

      ↓

20131215_05.jpg

      ↓

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      完成


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22.肘を回すとは

2013/12/14  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


「肘を回す」とは
   …… 矢通りに引いた肘が、両肩根を迎え割り込ぬことにより ……

 吉田先生は、稽古指導中によく「肘を回せ」と言われたものでした。

 「矢通りに 無限に伸ばせ 引き取り線」
               <弓道いろは訓より>

と言われております。

縦線を伸ばし、引き取り線は矢通りに、無限に伸ばす過程において、勝手の肘を上か
ら下に畳み込み(肘の角度を詰める)、両肩の詰め合いを大事に割り込んでいけば、
両肘は意識的に回そうとしなくても、自然に無意識の内に、肘が回ることになる。
次の画像を参考にして下さい。

20131213_01_.jpg

AからBへ移動。①から②の線は、勝手の肘を上から下に畳み込み(肘の角度を詰
める)、肩に背負い込む。③の矢印は、 両肩の詰め合いを大事に割り込む。そうす
ることにより、両肘は意識的に回そうとしなくても、 自然に無意識の内に、肘が回
ることになる。


※ 2014/02/18 掲載文と画像が合っていなかったため、画像を差し替えました。


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21.簡易な弓の強さのはかり方

2013/12/13  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


簡易な弓の強さの測り方
  ……… 無断で他人の弓に肩入れをしてはならない ………

 吉田先生から、 無断で他人の弓に肩入れをしてはならない。肩入れした時に、竹弓に割
れが入ったら、その方に弁償しなくてはならない。どうしてもという時は、持ち主から許
可を得なければならないし、引き過ぎないように細心の注意を払わなければならない。

 弓の強さがどのくらいなのか知りたい場合も、相手の許可を得て、以下の写真のような
要領で、親指で弦を押すことによって、強さのを推測できるようにならなければならない
と、教わりました。

 「これは18キロぐらいですか」
 「ええ、18キロです。」

親指一つで弦を押しただけで弦の強さを指摘できるぐらいにならなければない。相手から
も「この方は、弓をかなり知っておられる」と丁重なもてなしを受けることになるだろう
と。

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親指で弦を押して強さを推測


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20.右耳に目があるように

2013/12/12  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


「右の耳に目がある」思え
   ……… 「顔向けの甘い」(充分でないもの)者に対して ………

 先生は、「顔向けの甘い」(充分でないもの)者に対して、顔を螺旋状の階段を上るよ
うに回しながら上に伸ばし、右の耳に目がり、その目で的を見るような、充分顔向けの利
いた「物見」を取らなければならないと、指導されました。


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19.神前礼拝から学んだこと

2013/12/11  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


神前礼拝から学んだこと 
  ……… 「打ち起こし」「射法八節」の間合い ………

 吉田教場(遊神館弓道場)に入る際は、次のパターンでご挨拶を行います。
  道場内に軽く一礼し、神前に進み

     「 一 揖(いちゆう)・二礼・二拍手・一礼・ 一 揖」

  と通常の儀式の則り、神前礼拝を行う。次に道場内におられる方々にご挨拶をする。
  その後吉田先生がおられる居間に伺いご挨拶を済ませ、稽古を始める。
  稽古を終え帰る際も、上記の手順で道場を辞去することになります。

(1)「一 揖(いちゆう)・二礼」の後、両腕を神棚に向かって「捧げ奉る」ように、
   下筋を使い伸ばし、手を合わせる。
   この「捧げ奉る」下筋の伸びは、「打ち起こし」と同じであると、先生は指導さ
   れました。

(2)柏手を打つ場合は、先ず手を合わせ指先を揃える。次に右手を左手の中節(第二関
   節)まで引き、柏手を打つ。次に右手のつま先を擦らして左手のつま先に揃え、再
   度そのつま先を左手の中節まで引き下げ、2度目の柏手を打つ。
   上記のことをすることにより、柏手と柏手の間に、程よい間が生まれる。「パン
   パン」ではなく「パン〜パン」と。

   このことから、吉田先生は、射法八節でも、射技から射技へ移る合間に、「程よい
   間」(見せ場)がなければならない。短すぎても、長過ぎても(間延び)よろしく
   ないと、力説されました。


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18.どこでもできる「離れ」の稽古方法

2013/12/10  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


どこでもできる「離れ」と、両「手の裏」の稽古方法
 ………… 弓もいらない、 弽(ゆがけ) もいらない、簡易な稽古方法 ……… 

 以下の写真の順番通り、挑戦してみて下さい。

勝手の手の裏の親指と、弦の役割をする弓手の人差し指が、均等な引っ張り合いをする。
そこで鋭く、弓手の手の裏を「握り込む」と同時に、勝手の捻りをとり、親指を跳ね上
げる。

 まさしく、弓も・ 弽(ゆがけ) もいらず、どこでもできる「離れ」と、両「手の裏」
の簡易な稽古方法です。

 但し、吉田先生から、電車の中で、この稽古をしている最中、お隣のご婦人の額を誤っ
て打つという失態を、伺ったことがあります。皆さんも回りに十分配慮し、この稽古をな
さってみて下さい。

20131210_01.jpg

     (1)

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     (2)

20131210_03.jpg

     (3)

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     (4)


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17.垜鏡

2013/12/09  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


「垜 鏡」 造語の名手・吉田先生が考えられたもの
  ……… 記録表(成績表)の表表紙に、好んで使われました ………

 1970年、同好会扱いとして「桜美林大学愛弓会」が発足。翌年1971年、体育会(0ACU)
監査委員会に活動が認められ、体育会総会で部昇格が承認され、晴れて桜美林大学体育会弓
道部となり、今日に至っています。

 部昇格の1971年に、大学の屋上に弓道場が完成。吉田先生を祭主に、井戸先生始め高弟
の方々による、古式による道場開きの儀式が執り行われました。

 道場が完成し、活動の場所が大学構内に移ったことを契機に、記録表(成績表)を新調、
黒表紙を吉田教場に持参し、揮毫を依頼しました。

 依頼申し上げた「記録表」とお書きになるものと、黒表紙を注視していると、なんと
「垜鏡」と書かれたのです。先生が「分かるか」と私に問いかけられました。少しの沈黙
の後、「ああ、分かりました」と返答。先生は私が理解できたことをお分かりになられて
のでしょう。それ以上のことはお話になりませんでした。

 垜の的中・失中の結果を、鏡で写し取る、ということなのでしょう。なんと味わいのあ
る造語で、改めて先生の造詣の深さに感動したものです。

 卒業後、高校教員となり、赴任先の弓道部の記録表には、先生の書体をまねて、黒表紙
に金粉で「垜鏡」と書いたものです。


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16.てこの原理の応用

2013/12/06  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


引き取りで、てこの原理を応用せよ
  ……… 勝手(妻手・馬手)の肩根を巻き込み、てこの支点を作る ………

 「執弓」の姿勢のところでも述べましたが、勝手の肩根を弓手の肩根よりも少し強めに巻
き込みます。そのことは、強く巻き込んだ勝手の肩根を、「引き取り」で、てこの原理を応
用し、支点にするためです。

 「大三」で、弽(ゆがけ)の弦が掛かっている弦道を「作用点」、勝手の巻き込んだ肩を
「支点」、勝手の肘を「力点」と考えます。

 上記の例で言えば、「作用点」に掛かる弦の強さは、「支点」( 勝手の肩根は弓手の肩根
より強く巻き込むため、少し高めになる)を作ることにより、勝手の肘(「力点」)で引く
際に、実際の強さよりも軽くなり、強弓も楽に引くことができるのです。

 このことが理解できれば、正法流では勝手の肩根が少し高めに見えることが、なるほどと
お分かり戴けるかと思います。


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15.左右両側に的がある

2013/11/30  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


射位を中心に、左右両側28メートル先に、的があると思え
  …… その左右の的の中心に向かって、左右の親指を無限に伸ばす ……

 前にも、吉田先生が、横に最大限伸びれる位置は、「肩の延長線上」であるとお話された
ことを述べました。
 そのことと関連することになりますが、先生は的紙に中ってこの弓ではなく、的紙を無限
に貫くような弓を目指さなければならないと。
 そのための要素の一つとして、射位を中心に、左右両側28メートル先に、的があると考
え、その左右の的の中心に向かって、左右の親指を無限に伸ばすしていくことを挙げられ
ました。それがまた大文字の雄大な残心(身)に繋がることは、明らかなことです。


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14.横線は縦線から張れる

2013/11/29  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


縦線を最大限伸ばすことにより、横線を最大限張ることができる
 …… 横線は縦の伸びから張れるもの <弓道いろは訓より> ……

 前回、肩の延長線上が横に最大限伸びれるところである、ことを紹介しました。今回は、
横線を伸ばすために大切なことは、何であるかというお話をします。

 吉田先生は、以下の写真のように3つの形を示され、縦線の伸びの重要性を、説かれま
した。中指から中指までの長さを比べると、縦線を最大限伸ばしたところが、横線を最大
限張ることができることがお分かり戴けると思います。

20131129_01-2.jpg

 縦線が膝が曲がった状態

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   縦線が中腰の状態

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  縦線が伸びていいる形


協力者:紫鳳会副会長 土井春夫 教士
撮影者:筆者 武徳会 山崎 誠 教士

※2013/12/24に吉田道場に訪問することが出来
土井氏の協力により以前の画像と差し替えを致しました


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13.横線は肩の延長線上が最大

2013/11/28  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


横に最大限伸びれる位置は「肩の延長線上」である
 …… 従って「前離れ」「後ろへ振り込んだ離れ」は緩んだことになる ……

 吉田先生から、人間が横に最大限伸びれる位置は「肩の延長線上」であると、教わりま
した。従った以下の真上から撮影した、3つの写真を比較してみて下さい。両手の中指か
ら中指までの長さが、一番長いものはどの写真かお分かりでしょう。
 「肩の延長線上」が、「前離れ」や「後ろへ振り込んだ離れ」より長いことが、一目瞭
然お分かり戴けると思います。

20131128_01.jpg

 最大限伸びれる肩の延長線上

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    前離れの形

20131128_03.jpg

  後ろへ振り込んだ形

協力者:紫鳳会副会長 土井春夫 教士
撮影者:筆者 武徳会 山崎 誠 教士

※2013/12/24に吉田道場に訪問することが出来
土井氏の協力により以前の画像と差し替えを致しました


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12.離れは「弓手の手の裏を〜」

2013/11/27  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


離れは「弓手の手の裏を握り込む」ことから生じる
  ……… 弓手の握り込みが、離れを誘発する ………

(1)このことを理解する上で次の三点を押さえておく必要があります。
  ①手の裏を強く握り込むことによって、親指と残りの四指は逆方向に伸びる。
  ②四指の握り込みが、角見を利かして弓の右角を押す親指の伸びる力を強める。
  ③この親指の伸びが、飽和状態の会を爆発させ、離れ・弓返りを誘発する。

(2)吉田先生は、このことを次のように分かり易く、例えられました。
  飽和状態の風船(会) → 針を刺す(握り込んだ親指の伸び)→
    → 爆発(離れ・弓返り)

(3)弓手の手の裏を握り込むための注意点
  ①「会」で握り込んでいれば、「離れ」で握り込む余地はない。
   この手の裏は、緩めて持ち替えて、弓返りさせる程度のもの。
  ②手の裏に握り込める余裕(空間)を作らなければならない。
  ③「握卵(あくらん)の手の裏」を作る。生卵を入れても割れない手のl裏。
  ④そのためには、手の裏の骨が、絶えず外側に張るような働きをさせておく。

 15年ほど前に、私より年配のある教士(故人)の方から、「吉田先生はとにかく離れは
握り込むものだと、言われるものだから実践すると、離した後はベタ押しのような握りにな
るんだよ。」と話かけられたことがあります。年長者にお答えすることが憚られ、吉田先生
の意図することを、お伝えできなかったことが残念でした。

 下の画像をご覧ください。中央の手の裏は、画像①の手の形なるように、絶えず外側に
張る働きをするようにしておく。さらに親指の基節と他の四指の基節をつぶそうとする力
をかけても、外側に張り、つぶれないように働かせておく。画像①の手のような働きがあ
ればこそ画像③の手の裏のように、強く鋭く握り込むことができます。

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      画像①

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   画像②

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      画像③



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11.豆粒一つの弾力体

2013/11/26  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


弓手は「豆粒一つの余裕を持った弾力体」 
  ……… 相撲の「突っ張り」を例に出されて ………

 相撲好きの先生は、よく相撲にまつわるお話をされました。もし、肘が伸びきった状態で
突っ張りをするならば、その威力は半減し、相手を突っ張りだすだけの充分な力を発揮する
ことはできない。
 突っ張りの相撲巧者は、肘に少し余裕を持たせるだけで威力が倍増し、突っ張りだけで相
手を負かすことができると話されました。

 このことから、弓道における弓手も、同じように肘に余裕を持たせることにより、鋭い押
し開きができると解説されたものです。従って、先生はよく、弓手は「豆粒一つの余裕を持
った弾力体」にせよと、指導されました。


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10.「弓構え」における「本弭」の位置

2013/11/20  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


弓構えに於ける本弭の位置について 
  ……… 「膝頭の内側のくぼみ」である ………

本弭(もとはず)が安定して収まる位置は、「膝頭の内側のくぼみ」である。そのくぼ
みに、 本弭を入れ、くぼみを少し突くようにすれば安定すると、先生から教わりました。

膝頭の上と解説されている参考書がほとんどですが、一度試されてみてはいかがでしょ
うか。


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09.「執弓」の姿勢の大切さ

2013/11/19  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


「執弓」の姿勢の大切さ    
  ……… 「執弓」の姿勢は、射法八節の基本である ………

 射は、「執弓」で始まり「執弓」で終わる。故に射法八節は、「執弓」の姿勢の「八変
化」であると教わりました。更に次の二つの点を強調されました。

 (1)右肩を左肩より、やや強めに巻き込む。
   ①弓は矢より重いため、自然に支えようとして左肩が上がる傾向にある。そのこと
    を防ぐためである。
   ②引き取りで、右肩を迎えやすくするためである。(何故右肩を迎えるのかは、
    「てこの原理の応用」の項目で再度述べさせて戴きます。) 

 (2)弓手・勝手両方の、手の裏第二関節(中節)で、腹の脇の腰骨の部分を、軽く押
    しつけるようにする。
   ①そうすることにより、両方の手の裏は身体から離そうとしても、しっかり固定さ
    れ離れない。(以下の写真を参照)
   ②両方の手の裏が腰骨に固定されているため、両肘を肩の延長線上に、充分張るこ
    とができ、「執弓」の姿勢が雄大な構えに見える。

 学生・一般の弓人の中に、上記のような理論が分からず、両手が腰骨から離れ、「いか
り肩」のような「執弓」の姿勢をしておられる方が多く見られ残念なことであります。先
生のよく言われる「おおかたは弓技(かたち)をまねて射を知らず」 <弓道いろは訓より>
の忠告に謙虚に耳を傾け、「何故そのようにするのか」と追求し、「射義」(射の意義)
が理解できれば、稽古に対する取り組みも深まってくるものと思われます。

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○手首を腰から離そうとされた時に、すぐ離れる悪い例

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○手首を腰からはなそうとしても、第二関節で腰骨を突いているため簡単には離れない良い例



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08.相撲の「発気用意」の出典について

2013/11/18  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


相撲の「発気用意」の出典につて  
 …… 日本人武芸家が「武芸の教え」として漢文で著したのでは ? ……

 私は「吉田能安先生先生追想録」の中で、「発気用意」の語源について、先生から次のよ
うに教わりました、と記しました。

  不発気 不生力  「気を 発せざれば 力 生ぜず」
  不用意 不成技  「意を 用いざれば 技 成らず」
    (詳細は、「吉田能安先生追想録」を参照して下さい。)

 その出典を、先生から伺っておりませんでしたので、大学教授をしている私の弓道の教え
子(東京大卒、ケンブリッジ大・シカゴ大留学、経済学博士)に依頼し、その出典を調べて
もらいました。同僚の中国語教授や、中国人教授に調べてもらったところ、「中国古典には
無し」とのこと。
 彼曰く、おそらく日本人武芸家が「武芸の教え」を漢文で著したのではないかと、推測さ
れます。古本屋で見つかるもしれませんので、分かり次第お知らせします、という返信。
楽しみに待つことと致します。


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07.指の関節名について

2013/11/17  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


指の関節名について   
  ……… 人間の身体は心臓が中心であり、そこを起点と考える ………

 人間の身体は心臓が中心で、そこが始まりである。そこから端に向かって、1・2・3~
と数えるのだと、先生から教わりました。従って指の根元から次のようになります。

  基節(第一関節・一節)
  中節(第二関節・二節)
  末節(第三関節・三節)

 ただし、この表現は、昔から武芸家の間で、慣例的に使われてきたものではないかと私は
推測しております。
 知り合いの、整形外科の先生に伺ったところ、医学ではそのような呼び方をしないという
ことでありました。
 古来より、弓道(武芸全般)界で使われている表現でありますので、専門的な医学用語に
拘ることなく、先人の分かりやすい知恵・工夫を大切に受け継いでいきたいものです。

 「人間の身体は心臓が中心で、そこから端に向かって1・2・3~と数えていく」

私には、とても説得力があり、合理的な考え方であるような気が致します。


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06.骨法

2013/11/16  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


骨法(骨の理に適った使い方)  
  ……… 相撲の「かいな(腕)を返し上手を切る」を例に出されて ………

 骨法(骨の理に適った使い方)を理解すれば、弓を力任せの腕力で引く必要が無いことが
分かります。

 初心者はそのことが分からず、「うでじから(腕力)がなければ弓を引くことができない
と誤解しているものです。冒頭に述べた、相撲の「かいな(腕)を返し上手を切る」技は、
腕力で上手を切ったものではありません。かいなを返すという「骨法」を使ったため、簡単
にまわしから上手を切ることができたのす。このことを教えてあげると、骨法は腕力に勝る
技であることが理解できます。 

 先生は男子学生を指名し、ご自分と組み合った状態から、かいなを返し、その学生の上手
を切り、「どうだ、分かっただろう」と言われたものです。

 体配・射法における正しい骨の使い方(骨法)、手の裏を作る際にも、正しい指の骨の使
い方(骨法)がとても大切で重要なことです。

 上級者も、「折々は弱弓で正せ骨法を」 <弓道いろは訓より>と先生が述べられておるよ
うに、時には自己の骨法を再チェックし、射法研鑽を積み重ねていきたいものです。


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05.iPad は範士八段以上の指導者

2013/11/12  カテゴリ:山崎誠の私見


iPad は、範士八段以上の指導者   
      ……… 射法八節のチェックに最適 ……… 

 我々親子は(山崎誠・能成)は、巻藁・的前稽古で射義・射法の修正に、iPadを用いる
ようになりました。プロゴルファーの多くの方々がフォームのチェックに、iPadを使用し
ていることを耳にしたからです。動画を見て修正箇所を把握し、次の射に活かす。この繰
り返しが射義射法の向上に繋がり、その結果的中も上向いて参りました。

 「このiPadの動画が目に入らぬか」

と突きつけられると、iPadは範士八段以上の立派な指導者です。


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04.割り込む

2013/11/11  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


「割り込む」ことについて    
  ……… レースの花瓶敷きに、籐の切れ端を用いて教えて戴いたこと ………

 今から約42年前にある日、私が先生の自宅にある遊神館弓道場で、稽古をしていると、
居間の縁側で稽古をご覧になったおられた先生が、大声で私を居間に呼び寄せられました。
 すると座卓のレース編みの花瓶敷きに、籐の切れ端を、以下の写真のようにセットされ、
中央を人差し指で静かに押してゆくように言われました。

20131111_01.jpg

籐の両端が左右に伸び、レースが伸びて行く様子が分かりますでしょうか。このことか
ら、大三から体重移動しながら、縦線を伸ばし、弓の中に「割り込む」ことにより、両肘
は勝手に左右に動き、楽に弓を引けることを、教わったのです。

 直ぐに射場に戻り一手を引くと束中(吉田道場は一手稽古が基本)。縁側で

 『それでいいんだ』

と言う先生の笑顔が昨日のことのように思い出されます。

 直ぐに一手を引こうと準備すると、「もう引かんでいい。こちらへ」と手招き。そして
時には正座をして、2時間以上に及ぶ弓道談義を承り学習。当時は何射も引きたく、何故
引かせてくれないのだろうかと、疑問に思ったものでしたが、今となってはその意味が分
かり、更に弓道談義のお話も大変参考になり、感謝致しております。

 いい射が出ると、それ以上引かせなかった訳は、

 「乱射して知らず邪法におちいるな」
             <弓道いろは訓より>

ということを、先生は教えたかったのかもしれません。


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03.足踏みの角度

2013/11/10  カテゴリ:吉田能安先生から学んだこと


「足踏み」の角度について    
  ……… 槍を突く時の「両足の角度」を例に出されて ………

 足踏みの角度について、「60度に踏み開いた直後に、右足踵を外側に開く」と教わ
りました。
 先生は、弓を槍に例えて持ち、左足を的に真直ぐ向け、右足はその左足とTの字の形
になるようにして、槍を突く仕草をされました。(以下の写真を参照)

20131110_01.jpg

この槍のTの字の足の構えにより、槍を鋭く突くことができます。

 弓道の足踏みも「 右足踵を外側に開く」ようにすれば、この槍のTの字の足の構えの
意図するものが取り入れられことになり、弓手の押し開きを強く鋭く行うことができる
のだと。

【正法流要諦】(非売品)には、以下のように記載されてあります。
 ○的からの一直線上(的の中心線)に両親指をのせるのが基本だが、右親指は爪の分
  だけ内側にしめることにより、一直線上より、親指爪分だけ出る。
 ○強い弓を引く時には、左足を60度より広い角度で踏む方がよい。


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02.追想録執筆の経緯

2013/11/09  カテゴリ:はじめに


吉田能安先生追想録を執筆した経緯について
  …… 桜美林大学弓道部創部40周年記念誌が
       諸般の事情により刊行を見送られたための副産物として ……

 平成22年10月に、私山崎は吉田能安先生追想録を著しました。その年は我が母校
桜美林大学弓道部創部40周年当たり、周年事業として記念誌が恒例により刊行される
ものと思っておりました。当然原稿依頼があるもと、8月下旬に関係者に問い合わせた
ところ、諸般の事情により制作されないことを知らされました。そろそろ原稿に取りか
かろうかと思っておりましたので、安心すると同時に、残念で少々複雑な思いもありま
した。

それに代わる何かいい方策がないものかと考えていたところ、OB会のHPに40周年を
記念して、「吉田先生の思い出」を2~3ページ載せることを思いつき提案したところ、
それはいいアイディアだと了承され、9月初めに執筆に取り掛かりました。

 ところがいざ書き始めると、思い出や教わった事が次々と泉の如く湧き出し、2~3
ページどころか、予想の何倍ものページにも及んだ次第であります。更に、父の実家を
継ぐべく引っ越しした際、しまい忘れたアルバム、吉田先生からのお手紙や色紙、書も
見つかり、思わぬ副産物も手に入れることができました。

 特に、大学弓道場に掲額されている「至中和」の出典も見つかり、吉田先生がお引き
になった写真とともに、半切大に拡大し、40周年記念として桜美林大学弓道部に寄贈
させて戴きました。

 もし、20周年・30周年の時と同じように、記念誌が刊行されておれば、このよう
にネットに載せる事を思いつかなかったでありましょう。そのことにより、私の不得手
なコンピューターの分野に挑戦する事になり、62歳のマック習得の手習いは、得るもの
も大きく、ご協力戴いた全ての皆様方に、感謝と御礼を申し上げます。


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01.ブログ開始にあたって

2013/11/08  カテゴリ:はじめに


ブログを始める経緯について

   …… 「吉田能安先生追想録」に加筆ひたいことを綴る …… 

 平成22年10月に、私山崎は「吉田能安先生追想録」を執筆し、桜美林大学弓道部
OB会HPに寄稿致しました。その後読み返してみると、年月は定かではありませんが、
こういうことも教わった、ああいうこともあったと、書き足りなかったことが思い出さ
れます。 それらの事を、記憶の薄れぬうちに、書き留めておかなければならないと考
えておりました。

 もともとネット上に載せたことが始まりですので、私自身のHPを立ち上げ、その中に
「吉田能安先生追想録」とブログを設け、加筆したい事を紹介する方法が一番だろうと
いう結論に達しました。ところが私は、HP・ブログを作る能力も技術も持ち合わせて
おりません。 英語教師として職業柄、英文タイプを使用しブラインドタッチができ、
ワープロぐらいならできる程度のものなのです。

 従って、そのような技術に精通しておられる方々のお手を煩わすことになりました。
南部工業高校時代の若手同僚と、50年来の弓友のご子息様のお二人であります。
 元同僚からは、「吉田能安先生追想録」PDF版を元に、HTML版を作って戴きまし
た。 また、弓友のご子息様には、HPの構成に対するご助言、ドメインやURL等の取得
やマックを使用してのブログの作り方を教わり、何とか自分でアップロードすることが
できるようになり、本日を迎える事ができました。 お二人ともお仕事に就かれ、お忙
しい中ご協力を賜り恐縮致しております。この場をお借りして感謝と御礼を申し上げる
次第であります。

 先ずは所期の目的を達成するための手段を会得し一安心であります。とは申しまして
も、画像の加工などまだまだ教わる事が多く、ブログ初心者ですので、当分の間はお見
苦しいものになろうかと存じます。 皆様にはそのことをお含み戴き、ご笑覧賜ります
よう宜しくお願い申し上げます。

 それでは次回から、吉田先生から教わった事、思い出、弓道に関する私見等を綴って
参る事と致します。


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